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超音波複合振動

     
  超音波プラスチック溶接の周波数特性、溶接部温度および溶接特性について 
 
 
  =超音波プラスチック溶接の特性を生かした溶接方法で溶接性能を顕著に向上できる= 
     
     
    超音波によるプラスチック材料の溶接は、重ね合わせた試料の
直接溶接および溶接試料内に振動を伝達させて溶接を行う伝達溶
接に大別される。いずれも溶接部に静圧力を印加した状態で溶接チ
ップにより超音波振動を印加して溶接を行う方法で、溶接試料内の
振動応力のヒステリシス損失による温度上昇、振動および静圧力の
効果により溶接が行われる。

 写真1は20kHzのほぼ同一周波数の縦振動系を上下に配置した
溶接装置により、直径10mm、1/2波長長さのアクリル(PMMA)丸
棒試料を溶接チップ間の振動位相差を変化させて振動分布が変
化する様に駆動し、振動応力の最大部分(縦振動ノード部)で試料
が軟化・変形する様子を示している。この結果からも溶接部を振動
応力最大位置に設定することにより効果的な溶接が実現できるこ
とが分かる。
 超音波振動は主として溶接部に垂直な方向または溶接面に平
行な振動を印加して溶接を行う。垂直および平行振動を同時に
印加する方法、更に複合振動を用いることも効果的である。
  
 写真1 27kHzの上部および下部縦振
 動間の振動位相差を変化させて1/2波長
 長さのポリメタアクリレート棒(直径10mm)
 の振動分布を変化させた場合の軟化変形
 位置(振動ノード部に対応)。
   
    
94kHz        150kHz       180kHz
 高周波数では高分子材料の振動吸収が大になり溶接に必要な振動速度(溶接チップ振動振幅)が小さくなるが、20kHzおよび90kHzの上下駆動式溶接装置では必要振動速度は90kHzでは20kHzの1/3になる。また周波数が27kHz〜180kHzの縦振動系を用いた超音波プラスチック溶接装置を構成し、溶接に必要な振動速度等を調べた結果、周波数が高くなるに従い必要な振動速度が減少することが明らかになっている。

 また各周波数で溶接時の溶接面間、溶接部断面内の温度上昇の様子を熱電対、サーモトレーサーを用いて測定し、溶接時の振動速度、静圧力等の溶接条件を変化させて温度上昇と溶接強度、溶接状態等につき検討した。その結果、高周波数になるに従って必要振動速度が減少し、また現在の商用装置の使用周波数15〜40kHzより高周波数になると溶接部の単位面積当たりの溶接強度が増加する事がわかった。更に通常使用されている20〜40kHzより高周波数の67kHz、94kHzでは溶接面の温度上昇が小でも大きな溶接強度が得られる。

 また超音波プラスチック溶接の特性を生かし溶接特性を向上させるため種々の溶接装置の構成が可能である。通常は単一の振動系を用いて作業台(Anvil)に設置した溶接試料に一方から振動を印加しているが溶接性能に限界がある。更に溶接性能を向上させるため種々の新しい溶接方法につき検討して有効性を示した。
 
       
    溶接試料の両側から振動を同時に印加する20kHz、27kHz、90kHzの縦振動系および20kHzのねじる振動系などを用いた同一周波数および異なる周波数を組み合わせた各種の上下駆動式プラスチック溶接装置を構成して溶接特性を種々検討した結果、溶接特性が向上して試料の損傷が小になる顕著な効果があることがわかっている。

 また上下駆動式溶接装置では溶接条件は上部および下部溶接チップの振動速度の和で決まることが分かっている。このため上下溶接チップの振動速度が各々等しく1/2のとき、溶接負荷抵抗が等しいとすると各溶接チップの出力パワーは各々1/4となり、全出力パワーは片側駆動の場合の1/2となり、また溶接性能が向上し損傷の少ない溶接が実現できる。
 高周波数では同一振動速度でも振動振幅(変位)が小になるため厚い溶接試料では溶接チップの小振動変位による応力が試料内の応力の緩和により試料全体に伝達し難くなるため大振動振幅の比較的低振動周波数と小振動振幅の高周波数を組み合わせた溶接方法が効果的である。

 また溶接用縦振動系は通常、基本周波数のみを駆動して使用しているが、振動系を設置した状態でも高次共振周波数で駆動することにより基本周波数の数倍程度の幾つかの周波数で溶接チップを同時に駆動することが可能である。この幾つかの高次共振周波数を基本周波数と同時に駆動することにより溶接特性が向上し効果的である。
 溶接試料を数分の1mm程度の狭い幅で接合を行う場合には、縦振動または横方向振動溶接チップを接合幅だけ離して設置した逆位相で振動する溶接チップ対により溶接部に振動応力を集中させる事により微小幅の接合が可能となる。また大型試料の溶接には構成の自由度の大な平面形の振動系が有用である。
 
       
       
     レーザ協会 161研究会 超音波プラスチック溶接2009.1.30 より  
     
   
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